悪いね。
君、非リアでしよ?
知ってるんだ。
こんなクソブログ読んでるやつなんて暇人、つまり非リアなんだよ。
お見通しさ、全て。
だけど、僕はリア充だ。
どうだ非リア共。
羨ましいだろ。
僕には彼女がいるんだ。
下校のときに、彼女は体を擦り寄せて、こう言うんだ。
「ねぇ、家までついて行っていい?」
僕は頷く。
彼女の頬がポッと赤くなる。
そんな彼女を今すぐにでも抱きしめたくなる。
家に着く。
家には誰もいない。
心臓が大きく波打っている。
「ここが僕の部屋だよ」
「いつも来てるから分かるよ」
「これが僕のベッd」
手を掴まれた。
グイッと引っ張られた。
まずい。
そしてそのままベッドに押し倒された。
「隙あり!!!」
彼女は果物ナイフを手に取った。
今にも人を殺しそうな目をしている。
「死ねェェーア!!」
しかし、僕は知っている。
彼女が僕を殺せないことを。
「くっ……!」
「まだ殺せないの?」
「う、うるさい黙れ! 忍者の子孫として、ここは殺さねば……」
「やってみてよ」
「お、おのれっ……!」
彼女は忍者の子孫だ。
「なんで僕を君が殺すことになったんだっけ?」
「あ、兄が言っていた! お前を殺さなければならないと!」
「ふーん、それでなんで兄が殺しに来ないの?」
「兄は忍者としては……凄腕ではないというか」
「ボンクラなのね」
「兄をバカにするな!!」
彼女はブラコンだ。学校でも話題になるほどだ。
「お兄さんのことが好きなんだね」
「好きではない」
「だって律儀に僕の家まで来てお兄さんの作戦を実行しようとしてるじゃん。今日で5日目なのに全然僕を殺せてないけど」
「そ、それは兄のためでは……」
「ん?」
「……なんでもない」
僕は知っている。
彼女は僕を殺す気がないことを。
「……二兎を追っちゃダメだよ」
「お前、それはどういう意味だ?」
「二兎を追う者は一兎をも得ず、だ」
「何が言いたい?」
「僕だけを見ていて」
じっと彼女の目を見つめる。
彼女の顔がみるみる赤くなっていく。
僕と彼女の関係は複雑だ。
表面上は殺す殺されるの関係だが、その内に秘めてる思いは、僕も彼女も強い。
そうだな、僕と彼女の関係を表すとしたら……。
恋人以上、友達未満。
っていうね。