Sleeperのブログ

ネットの奥深くに眠るブログ。。。

0617 朝焼けと共に

深夜ラジオを聞いていると、いつの間にか朝になっていた。

朝焼け。

雲がかかっている。

朝の町に誘われ、ふと外に出る。

風が涼しい。

まだ眠っている町を歩く。

清々しい気持ちだ。

 

「また落ちた……」

司法試験に落ちたのは3回目。

そろそろ違う道を歩みださないといけない。

そうは思っても、いつもと同じ日々を繰り返す。

定まらない将来。

 

ここにこんな道あったっけ。

ふと入ってみる。

裏道には居酒屋が立ち並んでいた。

おじさんと目が合った。

おじさんはぎょっとして、戸を開けた。

「おめぇ……」

「大丈夫です」

「大丈夫じゃなかぁ……」

「違う道を歩むんです。止めないでください」

「おめ、正気か? ……まぁ俺は止めねぇよ」

 

「大丈夫だって」

そう友人は言ってくれる。

大丈夫じゃないことなんて、自分が一番分かっている。

友人は2年前に司法試験に受かった。

自分は未だ受かっていない。

差が広がっていく。

それを感じながらも、無理にでも笑おうとする。

笑うしかない。

 

道を抜ける。

人がたくさんいる。

笑われている気もするし、引かれている気もする。

でも、いいのだ。

惨めになるなら、とことんならないと。

 

「司法試験受かったらどうするんだ?」

「弁護士になろうかと」

「……本当になりたいのか?」

「……」

「本当はもっと、違うことがやりたいんじゃないのか?」

「……」

「自分の心を裸にしろ。話はそこからだ。今からでも引き返せる」

「……」

 

パトカーのサイレンが聞こえる。

音が近づいてきて、パトカーが目の前に止まる。

警官がパトカーから出てくる。

「君ぃ、困るよ」

手錠を片手に警官が自分に近寄る。

「どうして君は全裸なんだね?」

 

 

新しい1日が始まろうとしていた。