友人の家に来た。
そこには本棚があった。
俺の家の本棚には本はあまり入ってない。
缶詰やレトルトカレーなど、全然関係ないものが大半を占めている。
果たしてこの本棚には何が入っているのか。
本棚に入っているものを確認した。
「本だな・・・・・・」
やはり本が入っていた。
いや、本棚の下の方には、本は入ってないはず。
取りづらいこと甚だしいからだ。
俺はフィギュアを入れている。
果たしてこの本棚の下の方には何が入っているのか。
本棚に入っているものを確認した。
「本だな・・・・・・」
やはり本が入っていた。
本棚の中にはやけに大きい本があった。
あれは本ではない。
確信した。
あれは箱だ。
俺も本のような形をした箱を持っている。
自転車の鍵がいつも無くしてしまうので、その箱の中に入れたことがある。
その箱の鍵を無くして、自転車の鍵が取り出せなくなったのも、良い思い出だ。
とにかく、あれは箱だ。
本ではない。
本棚にあるそれを、実際に手にとって確認した。
「本だな・・・・・・」
本だった。
なんでこんなにも本が入っているのか。
友人に聞いた。
「おい、なんでこんなに本棚に本が入ってるんだ!」
「本棚だからだよ」
俺は衝撃を受けた。
本棚だから本を入れる・・・・・・。
なんて哲学なんだ。
俺は負けた。
「あばよ」
「は?」
そして俺は家に帰って、本棚に入ってるカレーを食べた。
俺は泣いた。