Sleeperのブログ

ネットの奥深くに眠るブログ。。。

椎一郎(しいいちろう)は言った。
「もうお前となんか友達じゃない」

俺は栄太。
中学生だ。
椎一郎は、あんな奴じゃないことくらい知っている。
でも、あの発言には心底がっくりした。

俺は椎一郎と遊ぶのを2連続すっぽかした。
椎一郎はずっと待っていたのに。
もちろん、わざとすっぽかした訳じゃない。
どっちもうっかりだった。
もちろん謝った。
1回目は許してくれた。
2回目は・・・・・・。

椎一郎は、根は優しいやつだった。
思い返せば、俺は椎一郎のことを粗雑に扱っていたかもしれない。
俺は、椎一郎の白い心を傷つけたのだ。

あまりに悩んでしまい、弟の某助に相談した。
兄失格かもしれない。
「某助、どうしたらいいだろう」
「時間が経つのを待つしかないだろうね」
時間が解決してくれる。
そう思った。

しかし、一人になった椎一郎はいじめられた。
友達は俺だけだったのだ。
俺だけが頼りだったのだ。
その俺は今、何をやっているんだ。
自分で自分を責めた。

だが、いじめを止める勇気はない。
告げ口する勇気もない。
ただ見ているだけだった。
暴行されて、可哀想で声をかけた。
「大丈夫?」
「・・・・・・」
「本当に大丈夫?」
「・・・・・・どうせ口だけなんだろ?」
「いや、そんなことは・・・・・・」
「じゃあ助けてくれてもいいんじゃないか?」
「そ、そりゃもちろん俺も助けてやりたいと」
「嘘つき」椎一郎のいじめは収まらなかった。
むしろひどくなるばかり。
俺はついに、そのいじめてるやつに手を出した。
「いいかげんやめろよ!」
いじめは中断した。
俺は椎一郎に声をかけた。
「大丈夫か?」
「遅いんだよ!」
椎一郎に怒鳴られた。
最初、なぜだか分からなかった。
「こんな肉体的ないじめより、お前が『ただ見ているだけ』という精神的いじめをしている方が、よっぽどきつかったんだよ! 俺はもっと早くお前に助けてもらいたかった! 友達だということを証明して欲しかった! でもお前はただ見ているだけだった! ただ傍観しているだけ! 俺はお前のことを信じていた! しかし、お前は俺なんてどうでもよかった! 分かった! もうお前は俺のことなんか眼中に無いんだ! お前を信じていた俺が馬鹿だった! もう誰も友達じゃない! 第一お前も前から粗雑な扱いしてたしな! 俺はお前のパシリだったんだと、過去を振り返ってみて気がついた! 馬鹿野郎!
死ね! クソ野郎!」


椎一郎の心は白かったんだ。
黒く染めたのは、俺だ。
染めるつもりはなかった。

椎一郎は前より性格は悪くなった。
かなりの悪になってしまったようだ。
俺のせいだ。

人間は元々は白い人間しかいないのだ。
しかし、周りの環境によって段々黒くなっていくのだ。


あのときの椎一郎の表情が脳裏に焼きついて離れない。