「お前太ったろ、デブ」
兄の栄太が言った。
「そういうデブこそ太っただろ」
弟の某助が言った。
「某助、お前はなんで太ったんだ」
「天高く馬肥ゆる秋だよ」
「お前は馬か?」
「じゃあ栄太はなんで太ったんだよ」
「食って寝たからだよ」
「単純明快だな」
「だろ」
「でもこのままじゃいかんな」
「いかんだろ?」
「どうするってんだ」
「ダイエットするってんだ」
「やだ」
「2文字で断らないでくれる?」
「じゃあダイエットって何やればいいのかね?」
「けん玉」
「絶対に違う」
こうして二人はダイエットをすることとなった!
「よし、某助、踊ろう」
「は?」
「ダイエットって具体的に何をやればいいのか分からないから」
「お、踊るの?」
「そうだよ、踊るんだよ!」
そうして栄太は腹についた、だらしない肉を上下に揺らしながら、踊っていた。
何とも惨めな姿だった。
「ほら、某助も一緒に!」
「断る」
「なぜ?」
「デブが踊るんじゃない! 見苦しい!」
「何言ってんだよ! デブだから踊るんじゃないか!」
「おれはお前ほどデブじゃない!」
「うっせぇデブ!」
見苦しいデブ同士のデブデブした争いであった。栄太はフラフープを買った。
「フラフープだ」
「フラフープか?」
「そうだ、某助よ。このフラフープを使って痩せるのだよ」
「フラフープって首にかけるの?」
「うるせぇデブ。腰で回すに決まってんだろ。これで楽しく痩せられるな」
「普通に腹筋すれば良くない?」
「うるせぇ」
フラフープを上体に通し、準備完了。
「回していいか?」
栄太は問いかけた。
「回せ回せ」
某助が煽った。
「いくぞーっ、ほれ、ほっ、あっ」
「回ってないけど」
2回くらいしか回らない。
「まだまだーっ、ほれ、ほっ、あっ」
「再放送?」
また2回しか回っていない。
「負けてたまるかーっ、ほれ、ほっ、あっ」
「飽きた」
捨てた。
「某助よ、ラ○ザップ申し込んどいたぞ」
「ライ○ップ!?」
「○の位置を変えるんじゃない、馬鹿者!」
「ライザッ○か~。大変そうだけど、申し込んだからにはやるしかないな・・・・・・。よし、腹をくくった。ライザ○プ、一緒に頑張るか!」
「俺やらないけどね」
「なんですって!?」
「だってラ○ザップ厳しいんだもん」
「じゃあ、俺だけ○イザップに行くの!?」
「○の位置を変えるなっつってるだろ!」
「じゃあやめた!」
「腹をくくったっつたろ!」
「だって一人でなんて聞いてないもの!」
「当たり前だろ、言ってないもの!」
「ちーくしょー」
(※某助が散々ラ○ザップをけなしていますが、筆者はラ○ザップのことが大好きです。あくまでこの物語はフィクションですので、そこの所、よろしくお願いします。)某助は尺の都合で、一瞬でムキムキになった!
「やったな某助!」
「やったぞ栄太!」
「これでめでたしめでたしだな」
「いや、お前痩せてねーだろ」
「いいよ別に」
「だって、もともとは栄太が痩せたかったんだろ?」
某助の問いかけに栄太が答えた。
「実は、某助が太りまくってたから、一緒にダイエットしようと言って、某助を痩せさせようとしたんだよ。別に私が痩せるためにダイエットに誘ったわけじゃないんだ」
「栄太・・・・・・お前・・・・・・」
そう。栄太は某助を痩せさせるために筋トレに誘ったのだ。
栄太の某助に対する愛情。
これが兄弟愛というものか。
某助はある感情が込み上げてきた。
「栄太・・・・・・」
「なんだ某助・・・・・・」
某助は言った。
「お前も痩せろよ!」
完